コピー取りの作法

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なぜに今更コピー??
このデジタル化が進み、効率的なやり方が賞賛される社会で、何故に今更コピー取りなんて論じる必要があるのか?、とは誰もが抱く疑問かと思います。しかし、こうした誰もが当然と思う常識こそ疑って然るべきで、僕が思うに、コピー取りこそ今まさに論じるに値すべきトピックです。
Kindleやスマートフォーンといった液晶携帯高機能端末の普及により、文章を紙で読むより、画面上で読む機会が増えてきました。いや、世間一般では、もしかしたら、もはや紙で何かを読む、なんてことが普通ではなくなってきてるのではないでしょうか。
しかし、伝統的な日本企業の権力者は、これからどんなにスマホが流行ろうとも、タブレットが流行ろうとも、断固プリントした紙で資料を見たがります。もうこれは間違いありません。紙で印刷された資料を読んで初めて、彼らは理解しようという気になるのです。
試しに聞いてみてください、あなたの会社の上席の方々に、「紙でお渡しいたしましょうか、メールで添付すればよいですか?」と。ほぼ100%の確率で、「紙に決まっているだろ」、というでしょう。
そうでない人(先進的なIT企業やベンチャー企業で働いて居る人)は、「ラッキー、俺には関係ない」、、ということで、今回のトピックを面白がてら読むと良いです。
コピー取りが本当に意味するところ
いやいや、コピーなんて、セットしてボタン押すだけでしょう?、という人がいるかもしれませんが、恐らくその程度の心構えでコピー取りをしていたら、上司から怒号・罵声を浴びせられる日はそう遠くはないでしょう。
裏表の設定は?、複数の電子ファイルに分かれているものを一気通貫でコピーし1枚目から通番を振る方法は?、そもそもホッチキスで閉じるとして左上一つ?、左サイド二つ?、止めるものは大きいクリップ?小さいクリップ?、この一つでもミスると、それだけで「仕事のできないやつ」との印象を植えつけることになります。
たかが、コピー取りの要領一つ間違えただけで、「こいつは、安心して仕事を任せられないやつ」、という烙印をおされかねないわけです。こんな下らない烙印を押されて、逐一自分の仕事を精査されているようでは、回る仕事も回りません。
このように、本業(もちろん、コピーは本業ではありません(^^;))を一段とスムースに進めるための地盤整備の一つが、「コピー取りを完璧にこなす」、ということの裏の意味合いなのです。
理想的なコピー取りの仕方
とまぁ、コピー取り如きで、偉そうなことを書いてきましたが、一見くだらなそうに見えるトピックを大真面目に分析してみるというのが、このスレの目的の一つでもありますから、これを機会に僕なりに考えてみました。
では、コピーをとるシチュエーションが発生した場合、何を気に留め、どういう行動をとるべきでしょうか?
コピー取りを実際に行うにあたって、まず初めに気にすべきところは、誰がそのコピーを必要としているか、です。
自分がそのコピーを必要としているならば、それは自分の好きなようにやってください。問題は、自分以外の誰かがコピーを必要としていて、自分がそのコピーを代行しているケースですね。その場合、自分の好みや今までの上司のやり方、なんかは何の意味も持ちません。正に、そのコピーを必要としている誰かの好みにあったコピーの仕方を忠実に遂行しろ、ということになります。
個々人の好みを完璧に反映させたコピーの適時のタイミングの完遂、それこそが、理想的なコピー取りといえるでしょう。言葉にしてみると、これほど退屈なものはないのですが、うーむ、やはりそうなんですよね。
いや、一度こういうことがあったんですよ。
僕自身は、本当にこういう無駄なことに時間を割くことが嫌いで、コピーなんて、コピーさえしてあればどうでもよくて、チラシの裏面だろうが、使わないわら半紙だろうが、何も気にしないので、そのノリで内部の打合せに使う資料を何も考えずに(上司の好みを聞かずに)、両面カラーコピーしたことがあったんですね。
で、10枚くらいだったので、コピー機に備え付きのホッチキスで左上を閉じる機能を使って、コピーしたんですよ。そしたら、もう内部の打合せにもかかわらず、「こんなセンスのないコピーの仕方があるかよ、お前」、って注意されたことがあるのです。
いや、本気で嫌な気分になりましたけどね、結局、そういうことを気にする人ってのは世の中にいて、それを意味のないことだと説得する時間こそが正しく無駄な努力で、もうこっちが折れて郷に入るしかないケースというのが多いんですよ。結局のところ、そうしたほうが長期的に見て自分にとってもプラスになるし、余計なところで悪い印象を与えてもろくなことにならないし。
先にも述べましたけど、「そんなことすらできない無能」と思われたら、その後の仕事の一々口を出されて本当に困ったことになりますしね。
で、正直な話、こういう好みを把握することって、別にそれほど時間がかかる話でも、頭を使う話でもないです。また、本当にペーパーレスの環境で働いているならまだしも、そうでない会社であれば、これまた上に行けば行くほど、現物の紙資料を目にする機会は多くなります。
50-60くらいの年齢の普通のおじさまが、すべての資料をスクリーンで見ているとはとても思えないでしょう、そうしたおじさま方と絡む機会が多くなるにつれて、むしろ紙資料を自分がコピー(あるいは誰かにコピーを頼む)機会は多くなるというわけです。
しかし、言ってはみたものの、結局は、個人的な好みを勘案してよろしくやればいい、なんて無責任極まりないですよね。それがわからない局面があるから、困る時があるんでしょう、と。そのとおりだと思います。ですので、今回は、好みがあるとしても、何を抑えたらいいか、ここを徹底的に説明します。
コピーを終えるタイミング
まず、気にするべきは、そのコピーを一体いつまでに終えればいいのか、です。
例えば、「会議までに20部、この資料をコピーしろ」という命令を上司から受けたと仮定します。その場合、言われた通りに、会議までに20部用意して、上司に渡せばそれでokなのでしょうか??
答えは、否です。
その上司の癖として、会議に出す資料は、事前に全て目を通しておきたい、1日前には、手元に一部持って、書き込みを行い万全の準備で会議に臨みたい、そういう性質の人は事実います。一方で、まさに直前に手渡ししてくれればよくて、それ以前は見たくもない、という人もいます。
いやいや、そんなのわかるはずないでしょ、と思うかもしれませんが、これってちょっとずるいのかもしれませんが、普段のコミュニケーションや一度の小さな失敗により学ぶ必要があるということです。コピー取り、とかいいながら、実際には、コピーを命令される前の準備が成否を分けるということですね。
ただ、ラッキーなことに、コピー取りに関する上記のような癖を知る機会は、ふんだんにあります。それこそ、普段の仕事の仕方(彼自身が、どのようにコピーを取っているか)から、大方は見当がつきますし、もっといえば、機嫌のいい時に、率直に「そういえば、今の部門ってコピー取りする機会が多いですけど、どういうコピーの仕方が好みですか?」と聞くのも悪くはないアイデアです。
どのようにそのタイミングを把握するかは、個人にお任せしますが、とにかくいつまでに終えて事前に渡してチェックしてもらうのか、そのままぶっつけ本番で会議に持ち込むのか、そのあたりは、一番初めに気にするべき事項です。
実際、コピーといっても、大量にコピーする場合は時間がかかりますし、そういう時に限って、コピー機が唸りを上げて稼働してる中、インク切れ(しかも、替えのインクもなし)やジャムってトラブル発生、結果終わらず、罵倒される、なんてことはありますからね。(というか、ありました(^^😉)
というわけで、コピーをいつまでに終えるかってのをきちんと把握しておくのって意外と重要なんですよね。
コピー機のコンディション確認
その上で、具体的なコピー技術論に入る前に、やはりトラブル発生時に戸惑わないように、コピー機のコンディションをきちんと確認しておきましょう。
特に万全の注意を払うべきは、
– インクの出が適切か
– インクの替え、インク交換の仕方
– 紙詰まりの際のリカバリ法
– コピー機のバックアップ(1台だけでなく2台)
です。
いくら印刷が終わっていても、文字がかすれていては一からやり直しですし、途中でインクがなくなって右往左往するというのも、あまりに拙いです。また、紙詰まりは、その対処を誤ると、時にそのコピー機が1営業日使えなくなる事態にまで発展する可能性をはらんでいます。万一そうなった際、あるいは不測の事態が発生した際に、その事態を解決するよりは、それは放置して違うコピー機を使ってコピーを行う必要があります。
ですので、事前に、替えのコピー機(しかも一定時間占有できるもの)については、確保しておくことが重要です。上記のことについては、習熟しておきましょう。
両面・片面印刷
次に、両面印刷か、片面印刷か、これを誤らないことです。
結局は、個人の好みにもよるんですけど、楽だからといって、両面印刷で済ませる、というのはお勧めしません。
僕なりの経験を踏まえた上での、とりあえずのガイドラインは
– パワポは両面
– エクセルは片面
– ワードは両面
ですね。パワポって、やっぱり、片面だと枚数も多くなるし、見開き(上開き)で見えた方が見やすいですよね。
エクセルは逆に、そのまま印刷して両面だと数字が裏表に分散してしまって、説明の時にペラペラ裏表めくりながらしなければならないので、円滑な理解を妨げますし、意識も分散します。ですので、エクセルは、横に並べて見られるように、これは片面です。
ワードは、所詮文章ですので、まぁ両面で良いでしょう。
カラー・白黒
これは、最近のエコブームもあって、どの会社でも白黒が励行されているのですが、基本以下のガイドラインに沿って対応すれば問題ないかと思います。
– 公的な書類・他部門も絡む大きな会議はカラー
– 内部的(チーム内や課内)打合せの書類は白黒
外に出す時はカラー、内輪で済ます時は白黒、というわけ方でも良いです。
ホチキス・クリップ
これは、意外と奥深いです。
人によっては、ばらけるのが嫌がるからホチキスを好み、人によってはある程度ばらけさせて見渡したいからクリップを好む、という。また、複数の資料を一気通貫でホチキスで閉じるべきか、はたまたクリップで閉じるべきか、色々と流儀があるわけです。
ですが、概ね以下のガイドラインに沿って運用いただければ、大きな問題には至らないでしょう。
– 一つの資料が3枚以下はクリップ
– 4枚以上はホチキス(左上1つ)、(7枚以上は左2つ)
– 複数の資料を一気通貫でホチキスで閉じるのは基本厳禁、各資料を上の方針でクリップかホチキスかで閉じた上で、最後に大きなクリップ、あるいはクリップで止めずにそのまま順番に上から資料を重ねる
ページ番号
必ず振りましょう。基本は右下ですね。コピー機の機能で振れるものも最近は出ていますが、できれば、ファイルそのもののフッターに入れておいたほうがいいでしょう。細かいところですが、これを間違えると、上司の逆鱗に触れることがあります、注意しましょう。
資料を説明する際、ページ番号がないと、「えっと、次は5枚めくってください、いや、そこのページではなく、一枚前に戻って、、」とか、かなりわかりづらい説明になりがちで、説明が拙くなると、そもそもその資料の内容自体の正確性にも疑義を抱かれるケースが少なくないから、その点を気にしてページ番号をつけることにこだわるひとがいるのだと思います。
A3への対応
これはA4と混ざっていると極めてコピーが困難になるというのと、A3だけサイズが違うのではみ出して見えてしまうという見た目の汚さを排除するために、縮小してA4にするという方法と、A3をZ折り(文字通り、A3をA4の大きさに合わせるために、Z型に折ること)という方法があります。
個人的には、Z折りをお勧めします。A3を縮小すると文字があまりに小さく見えづらくなるので、A3はA3として出力した上で、Z折りで大きさを合わせてはみ出さないようにするという配慮、というか気遣いができるという点も気に入られるはずなので、まさに二重取りですね。
ちなみに、高機能コピー機では、このZ折りを自動でしてくれるものもあるようです。その場合は、そうした機能にも習熟しておきましょう。
コピーする書類の前提をチェック!
実は、コピーだけの話をすると、以上で終わりなのですが、折角なのでコピーした際に見やすい書類というものも意識しておきたいものです。
– フォントは12以上
– どぎつい色は使わない
終わりに
さて、細々と述べてきましたが、これは僕が色々な会社の資料を見てきた中で、整理した情報にすぎませんので、やはり個々人の好みはこのガイドラインから逸脱したものになりがちですし、その好みを把握することこそ、仕事の一部だと思います。
ぜひ、たかがコピーと言って軽視せず、その裏に隠された意味ですとか、コピーによって勝ち取れる信頼ですとか、そうしたポジティブな面にも目を向けて、少しでもその苦痛にまみれた時間を少なくするようにしたいですよね。