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飲み会の作法 – 第4回(飲み会翌日(3rd phase=精算のメカニズムを解明))

martaposemuckel / Pixabay

・前回までの復習;お、気がきくなぁ、という印象

前回は、2nd phaseまで説明しました。

飲み会当日の朝から、時機をとらまえてproactiveにアクションを起こしていかなければならない、ということでした。

煎じつめて言えば、事あるごとに、「お、気がきくなぁ。」という印象をもってもらえるように行動するということですね。

3rd phase:クロージング、終わりよければすべてよし。。でもなければ、始まりよければすべてよし、でもない?その裏にある様々なメカニズム

今回は、3rd phaseについて説明したいと思います。

3rd phaseは、ビジネスでいうとクロージングです。

コンサルプロジェクトでいうと、全てのリサーチやヒアリングを終え、最後のプレゼン。営業で言えば、契約書を取り交わす段階。接客であれば、最後の笑顔と「ありがとうございました」の一言。

つまり、最後がダメだったらこれまた厳しいことに、最初から費やしてきた全ての苦労が水の泡になります。

水の泡程度ならまだマシかもしれません、極端にいうとその泡で溺れて死に至るくらいマイナスに振れることがあります。

期待値コントロールに失敗すると、「何もしないほうがマシ」ということになるのです。

一般に、人は首尾よく事が運ぶ様をみて勝手によい結果を期待します。

本来的には、期待というものは、「自分の」運命なり将来が望んだ方向に進む可能性が、なんらかの理由により高まった場合にのみ、発生するべきものである、と僕は考えますが、会社で生きていると、なかなかそうはいかず、他人が自分の都合を顧みず勝手に、自分が行っていることに対して期待する、というような状況に遭遇します。

いや、そんな状況があっても、人が自分にどう期待するか、なんか気にしなくていいはずだ、俺の人生は俺のものだ、と普通の人は思うでしょう。僕自身ももちろんそう思います。

でも、会社の中においては、そうは問屋がおろさないわけです。

他人が自分のやることに対して勝手に抱いた期待であっても、その期待を裏切る事になると、なぜかネガティブなエネルギーとなって自分に襲いかかってきます。

自分が他人に何かを期待させた時点で、その期待通りに物事が運ぶか、運ばないかは、はもはや自分だけの問題にとどまらないという事です。

会社で働く上では、この怖さ、というか、不条理さについては、きちんと気に留めておいたほうがよいでしょう。

こうした状況がなぜ生じるか、ですが、よくテレビ番組でやっている超弩級のドミノ倒しの作成過程を見る視聴者のような感覚なんでしょうね。

ドミノを並べるのもそろそろ終盤という段階で、チームの一人が不注意によりドミノを倒してしまって、完成には至りませんでした、となってしまった時の視聴者の憤り、と言いましょうか。

別に自分は一切その過程に携わっていないにもかかわらず、なぜか落胆、失望、憤慨する、という。

本来的には人間は、人の幸せを阻害せず、自分の幸せを追求するために生きているのですから、他人のしていることに干渉というか、勝手に期待して、その期待が裏切られると、マイナスの感情が芽生え、それをぶつける、などということはあってはいけない、というか、健全な社会では生じてはいけないことです。

しかし、現実に、会社の中では、こうしたことが起こっているのですから、無視するわけにはいきません。

メカニズムはともかく、単なる事実認識として「こういう状況が生じないように、自分の行動を負担のない範囲で調整する」というのが折り合いのつけ方としてはよいのかなと思いますし、僕自身はそうしています。

さて、話は逸れましたが、掴みからクロージングまで一瞬たりとも気を抜いてはいけない、という話でした。

飲み会なんて、飲み会が主なんだから、その後の話など瑣末なことで、どうでも良いという気持ちも十分理解できます。

とはいえ、英語でも、devils in the details、日本語でも神は細部に宿りたもう、八百万の神、とか言いますよね。

ここまで来たんだから、細かいところでも気を抜かずにパーフェクトを狙いたいところです。

僕自身は、そこそこできた、ということが、できないよりマシだと最初は思っていたのですが、上席の方々の視点から見ると、そこそこできた=できないのと同じ、ということになります。

結局、上席が考えうる最高の結果(100点満点)が頭の中にある限り、それより下の成果(90点等)に甘んじるというのは職業倫理にも反する、というか、妥協に他ならないのでしょうね。感覚的にはDNAレベルで許せない、くらい結果に厳しい方が多いです。

それは、仕事もそうですが、こういう飲み会の所作についても当てはまります。

必ずしも全員が全員そういう性質を持った人ではないのですが、多くの上席レベルの方は、そうした細かいところを完璧にこなしてきたからこそ、その地位にあるわけで、その価値観はきちんと理解しておいが方がよいでしょう。

できるところは常に完璧を目指す、死力を尽くす、そうした価値観をもった上席は少なくないですし、効率性を言い訳に時間がかかるだけで効果の薄いことを排除することは得策ではありません。

なぜここまで細かいことにこだわる完璧主義者が上席に多いのかというと、これは誰もが指摘していますけど、日本の主産業である製造業と大きく関連しているのだという説が主流ですよね。

伝統的な企業と言っても、欧米のマネジメントはもっと効率のよいやり方をしているのだと思います。

費用対効果を考えれば、8割クリアした時点でok、それ以上は追求せず、違う課題を解決しろ、という風に。

ただ、日本というのは、正に一つの小さな欠陥(defect)が商品として(家電製品)、また、人としての死(自動車)に繋がるような、とてもデリケートな垂直統合的製造業を主産業として発展してきました。

そのような世界においては、ネジの一つが1ミリ仕様からずれていた時点で、それを用いて製造された完成品は使い物にならなくなります。

80%程度の完成品を受け入れる、という概念がそもそもこうした日本の発展に貢献し、DNAを形作ってきた産業と相いれない、というわけです。

これは、単純な良し悪しで測られる問題ではありませんが、自動車のように人の命が関わるような製造業の世界ではこうしたやり方はプラスに働きますが、ITや金融といった日々刻々と動き間違っていても走りながら修正し、その流れに食らいついていく、というような産業においては、プラスには働かないのでしょう。

いずれにせよ、後者の産業のうち特に微に入り細に入りこだわりをもつ製造業が一大産業として、日本では伝統的に発展した訳で、そうした価値観は特に上の世代の方々のDNAに深く刻み込まれている信念、信条となっているのだと思います。

そうじゃないと、外部の資料ならまだしも、内部の資料にもかかわらず、フォントやコピーの仕方に異常なこだわりを見せる人がこんなに多いわけはないし、時間と労力を度外視して細かいところに完璧を求める執拗さ、は説明が難しいです。(そして、そのこだわりが、プラスに働いた結果、日本の製造業のグローバル展開や日本製の製品の品質が世界に認知されているわけだから、一概に悪いとは言えません。)

このように「最後の最後までコストを度外視して品質を追求するべきだ」、が事実上席の方々の心の中に存在するのですから、これを軽視することは得策ではありません。

彼らのこだわりなり、生き方は、僕たちが組織の中から、というか、組織の下層から変えられるほど甘くはないです。

いくら組織を変えたい、と言っても、途中で討ち死にしてしまってはどうしようもないです。

何らかの理由でこうした組織で働き続けれなければいけない場合、討ち死にしては生活上成り立たないということもあるでしょうから、まずは、上手くサバイブして、その後相応の地位を得たところで、大鉈をふるう、という戦略をとるのがよいのではないでしょうか。

ですので、このHPでは、こんなくだらないことに興じるくらいなら、まずは転職すれば良い、辞めれば良い、という選択肢は基本取らない(くだらないことをさせられる会社で働いていても仕方ない、キャリアとはそういうものじゃない、と結論づけるための情報やリーズニングであれば、他評論家なり専門家がとてもわかりやすく、それらを提供しておられます。そうしたことを伝えるのに僕は適していません、確信を持ってこれはいえます(^^;;))ことにして、いかにその状況を上手く乗り切るか、ということを説明することに注力しています。

あえて、一見社会では取られないけれども、考えてみると意外と奥が深い事象を大真面目に捉えて、何らかの示唆を見出す、といいましょうか。

というわけで、今回も飲み会のクロージングという、どうでも良さそうな瑣末なことを詳しく分析していきます。

ちょっとしつこくなってしまいましたが、なぜここまで細かいところにこだわるのか、final touchが重要なのか、という点について、分かりにくかったかもしれませんが、より記憶に残るように根っこの部分を仮説を交えて説明してみました。

ようやく本題:精算の仕組み

とても長くなりましたが、本題です。

読み飛ばした方もいるかもわかりませんが笑、3rd phaseは本筋は何と言っても精算です。

まず、精算の定義について説明します。

精算とは、単にお金を人数均等割りで計算し、各々好きな方法で幹事に返す、ということを意味しません

ここでは、精算とは、

  • (1)上席各人の支払い額上限(幾らまでなら、気前よく上席として払ってくれるか)に可能な限り近接した金額を把握し、
  • (2)上席以外のメンバーの面子を潰さないように、且つ
  • (3)参加者のパワーバランスを適切に反映した金額を設定して、
  • (4)各人がストレスを感じない方法でお金を回収し、
  • (5)次も参加してもいいかな、とほんのりいい気分になった状態で、全員が支払いを終えられるように環境を整えること

を言います。

以下、(1)から(5)の順に留意事項を記します。

(1)上席がいくら払うかが命

精算を考える際に、まず初めに考えることは、上席がいくら払ってくれるのか、ということです。

この上席が払う額が上限となり、そのほかに、下限を設定すれば自ずとそのレンジの中で合計金額になるように調整することができます。(2点が決まれば、傾斜の角度が決まるからです。ここが浅くても深くてもいけません、心地よい傾斜の角度を見つける、というのが(1)の課題です。)

下限というのは、新人あるいはその部門で最も年次の低い人が払う金額です。

一般的なガイドラインとしては、下限は1500円から2000円で、3000円を払わせては、払わせすぎ、となります。

しかし、下限がどうなるかなど、正直どうでも良いし、基本的には新人から安すぎる、高すぎるなどと文句を言われることもないので、何も考えずに2000円としておきましょう。

キーは、上限をどのように把握し、適切な額を設定するかです。

上限設定の方法には、色々とやり方がありますが、一人5000円の飲み会を設定したとして、お手軽且つ間違いのないやり方は

「上席の額を8000円、その下を7000円、その下を6000円という風に役職付きの人たちの下限は5000円になるように調整、その下は年次が変わるたびに500円刻みで調整、下限は2000円にして、一覧にした表(エクセルが良い)を作成します。その後、その表を先輩、上司の順で回覧し意見を伺い、承認を得た上で、初めて上席に、これで精算を進めてもよろしいでしょうか?と丁寧めにお伺いをたてる」

方法です。

とても迂遠な上限把握のやり方なのですが、結局はこれが一番の近道になります。

一番やってはいけないことは、少し高めの上限金額を設定した上で、誰にも相談せず一足飛びに上席に精算のお伺いを立てることです。

実際にお金を取り立てているわけではないのですが、これは大変失礼なことに当たりますので、注意しましょう。

なぜ失礼かというと、そのように下っ端から直接精算を持ってこられると、上席としては、既に下で「揉んでから」持ってきているんだな、と思うため、もはや断れないのです。断ることは彼らの面子というか沽券にかかわることで、そういう情けない格好はできないのです。

そして、後々、その精算内容が下で揉まれていないことがその上席に知れ渡ると、「事前の合意形成ができない危うい奴」だとか、「俺に多額の金を払わせようとしたとんでもない奴」というような印象を抱かせます。また、直属上司の管理責任も問われるため、「そんなことも教えられないダメな上司」と、自分だけではなく上司ですとか先輩の評判すら傷つきます。

ですので、精算金額を決めるときは、ガイドラインを参考に、事前に上司を含む数人で内容をクロスチェックすることです。

ちなみに、なぜガイドライン上の上限を8000円にしているのかといえば、これも理由があります。

あえて、若干低めの金額を設定することで、ケチな上席の機嫌も損ねることなく、鷹揚な上席の「いやいや、もっと払うよ」の一言を引き出せる絶妙な金額が、8000円なのです。

経験則上、1万円でも、8割方文句は言われないでしょうが、時折、それでは高すぎる、と思う人もいるようなので、8000円にしておきましょう。

部門の長たるもの、四半期に一度くらいはドーンと5万なり、10万、時には全奢りくらいはしてほしいものですが、役員レベルでもない限り、そこまでのことは期待しないほうが良いでしょう。伝統的日本企業においては、上席の方であっても、1億もらっているわけではありませんから、二桁万円出してもらうというのは、少しやりすぎです。

8000円以上を引き出すためにも、あえてここは8000円からスタートする、守りの8000円ではなくて、これは攻めの8000円です。

(2)・(3)500か1000円刻み、要は年次順

(2)・(3)は実は大した留意事項はありません。

まず第一に端数刻みにするのは控えろ、というものです。つまり、500円とか、1000円刻みで、700円とかはやめましょうということですね。

上限、下限が決まっているのであれば、粛々と500円なり1000円なりで傾斜をつけておけばいいだけです。

言い忘れましたが、この傾斜は狭義の傾斜と言われ、上限下限という広義の傾斜と比べると誤った時のダメージは大きくありませんが、浅すぎると「傾斜があせーよ、何考えてるんだ」と言われ、深すぎると「傾斜がふけーよ、もうちょっと考えてみろ」と、悪態を突かれるので、狭義の傾斜を5000円にするとかはしてはいけません。

次に、パワーバランスとか難しいことを書きましたが、伝統的な日本企業の場合、年次が逆転して上司部下となるケースは少ないのでしょうから、要は年次順に請求額に傾斜をつけろ、ということです。時折、逆転しているケースがありますが、その場合は役職順で大丈夫です。

(4)全ての精算方法を提示するのが親切

いちいち、席を廻ってありがとうございます、を言いながら回収するのはオーソドックスな手段ですが、お金を人前で出し入れするのを嫌がる人も事実います。

そのような人のために、請求額を記したメールとあわせて複数の回収方法を明記するべきです。

具体的には、請求メールを出した日の業務時間外に回収しにいきます(1つめの回収方法)、銀行振り込みが良ければ以下口座(複数口座)に振り込みください(2つめの回収方法)、直接自席まで赴きお渡しいただいても結構です(3つめの回収方法)、と最低3つは提示するのが親切というものです。

(5)お礼の言葉で締める

最後は、直接回収する時に、「ありがとうございました、また次回幹事をする時も宜しくお願いします」と一言添えて満面の笑顔でお金を回収しましょう。

「料理が美味しかったですね、楽しめましたか?」(例えまずかったとしてもです)でもokです。

どんなに悪い記憶も、1日クールダウンした後の屈託のない笑顔と問い掛けでプラスに転換するという意気込みですね。

最後に

上記5つの要素に対する留意事項を整理し、ようやく飲み会の作法についてはお終いです。

他にもいろいろと気にすることはあるのかもしれませんが、まずもって、ここまで完璧に行えば、皆は、あいつはとても気遣いのできる奴だと、思うことでしょう。

また、こうした段取りを行う過程で培われたネットワークや交流は、仕事上でも生きるものですし、仕事上で生かすためにこうした機会を通じて前向きにコミュニケーションするべきでしょう。

外形的には、単なる飲み会の幹事、ですが、実際には仕事に生きることもありますし、上司や上席がどういうことを気にするかを知るための第一歩となることもあります。

ゆめゆめ、こうした黒子的な仕事を軽く見ずに、意識せずとも1st, 2nd, 3rdともにそつなくミスなくこなせるような人間でありたいものです。

ちなみに、飲み会の幹事は、5年(長い笑)もすれば卒業できますし、その後、万一幹事を務める機会があった場合に、今回述べたことができていないと、大きな失望を買う恐れがあるので、できる時(新人時代)に沢山やっておいて、失敗しておくべきだというのが僕の持論です。

新人に対する甘い目は、伝統的な日本企業の良いところですからね。

僕が今回長々と述べた点とは異なることも、各会社ごとにあるかとは思いますが、大筋は間違っていないはずですので、細かい点をtweakするために、何度かトライして小さく失敗すれば良いのだと思います。

では、とても長くなりましたが、飲み会の作法はこれで終わりです。