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所謂ホワイトカラーのAI・Roboによる置き換えについて(伝統的日本企業の現場から) 第2回

Thor_Deichmann / Pixabay

AI・ロボが現時点でできること、できないこと

伝統的日本企業でAIの活用が進まない理由が何か、という本題に入る前に、まずはAI・ロボって一体現時点で何ができて、何ができないのか少し明確にします。

というのも、感覚的に「どうせAIがホワイトカラーを駆逐するんだから、こんなことやってたって意味ないよ」とか、「ロボにより代替されるんだからこの種の仕事は適当にやればいいよ」とか言う前に、一歩引いてそもそもAI・ロボが現時点でどこまで発達しているのか明らかにしないことには、「本当に自分が思っている仕事や業務が自分がキャリア形成を行う過程で消滅し、それができることが殆ど意味をなさないくらいになるのかどうか」見極めることが難しいと考えるからです。この点、無限大の可能性を感じさせるAI・ロボといった曖昧なbuzz wordは上記のように怠惰の言い訳に使われる(僕自身よく使う(^^;;))こともあり、自戒の意味も込めてとりわけ慎重に扱う必要があります。

そこで、一旦、AIやロボの活用について造詣の深い一流コンサルタントの記事を読んでみることにしましょう。一流コンサルタントといえば、やはりマッキンゼーですよね。幸いなことに、金になる話題であるAIやロボについては、各産業の活用法や経営トップがAIやロボにどう向き合うかについて沢山の記事が書かれてあります。

http://www.mckinsey.com/global-themes/digital-disruption/harnessing-automation-for-a-future-that-works

読むのが面倒臭い人のために要点を箇条書きすると以下の通りです。

  • ロボットやコンピュータは、単純に物を動かす作業をより安く正確に行えるだけでなく、人間の認知スキルを代替する能力を手に入れつつある。
  • とはいえ、どの程度のリアリティをもって、どれくらいの速さでそうした技術が現実世界で人間と置き換えられていくのだろうか、またグローバル経済における雇用や生産性におけるインパクトはいかほどのものか?
  • 当研究所が行った調査によると、作業の自動化が、人間をも凌ぐ作業の速さ、正確性の実現、労働人口の減少をカバーし持続的な成長を可能にするという観点で、グローバルな経済成長に大凡1パーセント程度プラスに寄与することが判明している。
  • 自動化のインパクトを考える際に重要なのは、一足飛びにある職業が一つ忽然と消えることはなく、「ある職業に含まれる自動化に適した作業がロボに置き換わっていく」ということだ。金額に直すと、1,500兆円。
  • もっとも自動化に適した作業は、物理的作業、具体的には、製造業、宿泊業、飲食、小売作業があげられる。しかし、それだけではなく、所謂高い給与が支払われてきた職業にもその影響は及ぶと考えられており、今後20年前後で現存する仕事の50%程度は自動化により置き換わっていくことが想定される。
  • 自動化によって人間の作業が置き換わるといっても、それは必ずしも大量の失業者を生み出すことを意味しない、なぜならば、機械によって置き換わった作業をしてきた人間は、別の作業にシフトしていくことになるからだ。
  • このシフトは、テクノロジーと人間による労働力の新たな協力であり、人間が必要とされる新たなタイプの仕事も今後増えていくことになろう、そして、その当たらなタイプの仕事に従事するために、当然人々は変わっていかなければならないだろう。

さすがコンサルタントの記事、ということで、具体的にどういう種類の仕事が今後自動化と並行して増えていくかということは述べられてはいません。それを書いちゃうと、コンサルタントを頼む必要がなくなってしまうからですね笑。

ただ、想像するに、自動化、自動化、といっても、どの作業を自動化するのか、できるのか、あるいは組織内で押し進めるのか、といった判断は、当面は人間が行うので、こうした調整的な役割を担う業務は今後増えていくことは間違いないです。自動化可能な業務を判断し、組織内での調整(その業務を担っていた人を説得して、他の業務をしてもらう。業務を自動化するに適したテクノロジーを紹介する人)は一層重要になります。これはまだロボにはできませんね、ドラえもんのようなロボットができて、実際に職場に存在して、「まぁまぁ課長、その仕事はなくなるけど、もっと価値ある仕事にあなたの優秀な能力を生かしてください、僕たちをもっと有効に活用してください」とかいってるのが当然の段階で初めてそうした調整作業ができるわけですから、それはまだ遠い未来の話です。

ロボットやAIに今後20年前後で置き換わっていく仕事は、肉体を使う単純労働(人が介在せずとも行える作業)がランキングトップ、それ以外は、部分的に置き換わっていくものの、仕事によりリプレースされる程度は異なる、というのが、今時点で行う正しい認識と言えそうです。

では、今どこまで進んでいるのか、進んでいないのか

上記認識を踏まえた上で、一体伝統的日本企業ではどこまで自動化が進んでいるのでしょうか?

これは、正に上で述べたとおり、作業によって異なります。単純肉体労働は、どんどんロボットによる置き換えが進んでいます。製造業、宿泊業、飲食、小売ですね。

例はあげるまでもないですが、製造業は、自動化を押し進めてグローバルな大企業となったファナックなんかもあるようにロボの活用が進んでますよね。それでも、ナノマイクロ単位で鉄板を加工する職人の中の職人なんかは未だ必要とされていますが、それも時間の問題と言えそうです。ただ、置き換えが進めば進むほど、「これは国宝である人間が、ロボかそれ以上の精度で作っています」という、どれだけ質の良いものかというよりは、あえて人間が作っている(作れる)という点に今後価値が高まるでしょう。

宿泊業は、定型化されたニーズをもつ一般の客を応対する程度であれば、HISが打ち出した「変なホテル」のようにレセプションがロボットというのでも全く問題なく対応できます。ちなみに、僕は一度この変なホテルに泊まったことがありますが、全くもって問題なくチェックイン・チェックアウトができましたし、むしろ淡々と進む分煩わしさがなくて良かったですね。事前の説明で自明な部分は、自らの判断でスキップできますし。一方で、富裕層の多様なニーズを満たすには、まだまだロボットでは難しそうです。例えば、さらっとその日に高級レストランの予約をしたい、とか思ったとして、そのコンシェルジュが長年の繋がりで席をねじ込むことができるような場合は、さすがにロボットでは難しいのかと思います。あるいは、旅に人との出会いという付加価値を求める層はグローバルで見ても増加傾向にあると考えられ、ゲストハウスやホステルといった外国人が安く泊まれ、泊まれる以外の価値(この店が面白いとか、知られていないけど安くて美味しい店とか、人と人とのコミュニケーションを行う中でone and onlyの経験を提供できる等、ロボットやAIとのやりとりでは、未だ人間に分があると思われる分野)を提供できる業態はそうは簡単になくならないでしょう。いちいち、ロボットに自分の好みを把握してもらうのにQAに答えるというのはかったるくてやってられないですからね。そりゃもちろん、今までの検索履歴やSNSの投稿から分析して、統計的に確からしい好み、をその場で提供することは可能なのでしょうけど、それよりは味のあるホストが、柔和な人懐っこい笑みを浮かべながら「もしかしたら、ここに行ったら楽しめるかもしれませんよ」とか言われた方がよっぽど説得的、というか、価値を感じる人がまだまだ多いのではないかと思います。まあ、その柔和な笑みを浮かべるホストが、実はAIを活用していたら、元も子もないのでしょうけど笑。そうした例は、それほど多くはないでしょう。

飲食はファーストフード店はロボットを入れた方が安いのか、人を雇った方が安いのか、今の所は人を雇った方が安いため、まだロボットの置き換えは部分的にしか進んでませんね。ポテトあげたりとか、コーヒー入れたりとか、その程度です。小売も、レジで公共料金支払ったり、チケット買ったり、様々な作業がワンストップ化されているので、まだ人が雇われています。ただ、これらの産業も今後ロボットの値段が量産効果で下がるにつれて、自動化が現場の声を無視して進んでいくし、消費者は多少のサービスが落ちても、質が同じなら安いコンビニ、安いファーストフードを選ぶことは間違いないでしょう。求める期待値がそれほど高くないので、安い方がよい、と。そうした考えです。

では知的産業ではどうでしょうか。これは次回以降に書いていきます。