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所謂ホワイトカラーのAI・Roboによる置き換えについて(伝統的日本企業の現場から) 第7回

GDJ / Pixabay

営業:最もAIと馴染みが良い職種

残りは、以下3つの部門です。

  • 営業
  • 事務部門
  • 支店全般

今回は営業から片付けていきます。

営業は、表題にある通りAI活用と最も馴染みがよい職種と僕は考えます。一般的な感覚だと、営業こそ「人」が行うべきであり、自動化される余地が少なく最後まで生き残る部門と思うかもしれません。

人は、人との繋がりやコミュニケーションの中で決断する場面が多く、返報性の原理(相手から何かをされると、こちらも何かして上げなきゃいけない気になる)や、foot in the door(最初は小さな要求からスタートして、徐々に過大な要求を飲み込ませていく)、door in the face(最初に過大の要求を提示して、徐々に目線を下げて要求を飲ませる)といったテクニックも対人では機能しますが、マシーン相手だとうまくいくような気がしません。

例えば、AIが画面上でメッセージによって値段を多少ふっかけてきたとしたら、多くの場合、その時点で画面を閉じてその後の会話を続けるということはしないでしょう。強制的に会話を終わらせることになんの躊躇も抱かないはずです。しかし、人間相手ならそうはいきませんよね。例えば炎天下の日に、若い営業マンが訪ねてきて、それなりの質の製品をそれなりの値段で売りつけてきたとしましょう。必死になったその顔を見て、その値段では買わないとしても、ちょっとくらい話を聞いてやろう、って思うのが人間の心情じゃないかと思います。あからさまに人が良さそうな営業マンだったら尚更門前払いにするということはしないはずです。人情にほだされる、そういう部分はまだまだマシーンによる代替は難しいです。これはこれからも当面は人のみがなせる業でしょう。(ドラえもんのようなロボットが出てきたら、情にほだされる部分も一定程度機械による代替が可能となりますが、それはまだまだ先の話です。)

では、営業部門の仕事の中で、一体何が自動化、マシーンによる代替がなされるのか。それは、見込みある顧客を見つけ出して、より売れる確率の高い商品なり売り方を組み合わせる能力です。上記のように情に流される、のは人が人に対して抱く感情に他なりませんが、情にほだされやすい人、ほだされにくい人、が世の中にはいて、有能な営業マンは、ランダムに顧客にあたるのではなく、より情にほだされやすい人間に積極的にアプローチをする一方、そうではに顧客には単にメールなりDMで情報を提供して相手方に選んでもらうというような営業手法を適時適切に選んでいます。

そして、その営業マンの顧客に対する選球眼(誰にどういうアプローチで何を売ったら良いか)は、今までは優秀な営業マンの専売特許であり、門外不出、なかなか世の中には出回らないものでした。それが故に、ものを売れる営業マン(正確にはどの顧客にどういうアプローチをしたら物を売ることができるのか、顧客のタイプと営業手法の見極めができる営業マン)は業界によらずとても高い評価を得てきました。

例えば、リサーチや研究開発では分野をまたいで優秀、というようなことはなかなかありませんが、営業マンに限っていうと、どの業界でも縦横無尽に活躍したりしますよね。その背景には、できる営業マンであるためには、本人がどれだけ再現可能な形で必勝パターンを自分の中に蓄積していつでも取り出せるようにデータベース化(どの顧客にどういうアプローチをするか)しているかが何より重要であり、業界知識や専門知識は後から蓄えれば十分に逆転可能という特性が営業という職種にはある、からに他ならないと思います。

それゆえに、若者でも十分に業界トップになれる世界であり、夢があり、数々の武勇伝が生まれる世界でもあるのでしょう。何年ここにいたということが全く意味をなさない実力の世界、でもあります。

で、何が言いたいかというと、それでも、なお、営業マンの表情とか泣き落としとか、交渉術とか、色々と自動化できない部分もあるんですけど、少なくとも、どういう顧客にどういうアプローチをすべきか、という部分については一定程度AIやマシンによる自動化の目処がたったと言って良いです。

で、これによって何が起こるか、というと、できない営業マンでもそこそこできるようになる、のかというとやはりそうはならないでしょう。

結局は相対する目の前の営業マンが信頼に足るかという個対個のやりとりになるわけですから、できない人間が一足飛びにできるようにはならない。

しかし、人の良い、あるいは押しの強い、営業マンが自分が得意とする顧客だけをアプローチして、成功率を上げ、成績を向上させることはできるでしょう。また、どんな顧客にもそこそこ物を売れるできる営業マンが、AIにより見込みのない客をばっさり切り落とし、見込みのある客にだけアプローチすることができるようになれば、そりゃ売り上げも上がるでしょう。

つまり、できるやつはよりできるようになり、普通の人も主戦場を選べばよりできるようになり、できないやつはできないまま、という、より格差拡大を助長する装置として機能するようになります。

で、自動化の程度ですが、誰にどういう風にアプローチするか、が自動化されると、ざっくり3割くらいは自動化されるんじゃないですかね。ただ、これって自動化されたものがそのままなくなるわけじゃなくて、そのぶんできる営業マンは既存顧客にパーソナルタッチを与えるためのケアだとか、あえてその時間をつかって手書きの手紙を書く、等のより人間味を感じさせる術に時間を使うのでしょうから、できる営業マンにとっては自動化の波なんていたくもかゆくもなくて、単なる自分の価値をレバレッジをかけて最大化する一つのツール、くらいの認識しかないと思います。

逆にですが、今まで話してきたのは、人が決断する中で、人と人との対話を重視する、個別性具体性の強い商品に限ったことですので、例えば既にコモディティ化した商品(やすい家具、電化製品、自動車保険、旅行保険)については、どんどんオンライン化、オンラインを通したAIの活用にシフトしていくでしょうね。コモディティ化して消費者が価格でしか価値を感じられない商品に、人を張っても単なる人件費の無駄でしかないでしょうから。

後二つは次回に。