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漫画喫茶・古本自炊・レンタル・電子書籍にかかる評価 第4回(最終回)

InspiredImages / Pixabay

電子書籍の評価

前回はレンタルコミックを評価しました、今回は電子書籍ですね。さくっとやります。

まず、電子書籍(コミック)市場が紙と比べてどの程度の割合なのか調べて見ました。以下引用です。

「2016年のコミック市場全体(紙+電子)の推定販売金額は前年比0.4%増の4,454億円で微増となりました。

内訳は紙のコミックス(単行本)が同7.4%減の1,947億円、紙のコミック誌が同12.9%減の1,016億円。電子コミックス(作品単体として独立して配信されているもの)が同27.1%増の1,460億円、電子コミック誌が同55.0%増の31億円。

コミックスとコミック誌を合わせた市場規模は紙が同9.3%減の2,963億円。電子が同27.5%増の1,491億円。紙の落ち込みと電子のプラス成長が対照的でした。」

(公益社団法人全国出版協会、http://www.ajpea.or.jp/information/20170224/index.html1)

だそうです、具体的には、紙が増えている一方当然のことながら電子が急増、そして市場規模は横ばい→漫画人口は変わってない一方、読む形態が紙から電子にシフトしつつある。それも既に市場の3分の1を占めるまでになっている。

一人一冊買っているわけではないので一概には言えませんが、ざっくり漫画を読む人のうち3人に一人は電子書籍で読んでいる、ということになります。レンタルコミックや漫画喫茶で紙で購入されている分を全体からさっぴくと、更に多くの人が電子書籍で読んでいることになります。

何ということはない、例えば若年層でいえば、半分以上は電子書籍で読んでいるんでしょうね。で、30歳以上の紙というか手触り感・所有感を忘れられない世代やコレクターが、紙で買っているということなのでしょう。時代は変わるものですね。

この統計から得られる示唆はまだあります。

少し前、それこそ2014年の段階であれば、5分の1が電子書籍でしたし、その前はもっと電子書籍の割合が低かったわけです。しかし、今は3分の1を占める。これは何を意味するかというと、市場に紙で出ている本で電子化されない書籍はほとんどなくなってきた、ということですね。

3分の1が電子書籍で売れるにもかかわらず、その大きな市場を無視する意味がない。売り上げの3分の1をみすみす失うのですか、という話です。

なので、今や買いたい本が電子ではない、という事態は限りなく少なくなってきた、と言っていいでしょう。

次に、電子書籍を読むプラットフォームが確立してきた、ということです。読むデバイスがないのに、人は電子書籍を買うはずはないので、この場合はスマートフォンの大幅な普及ですね。または、タブレットの普及。プラットフォームというのは、こうしたハードだけでなくソフトも含みます、コミック・漫画でいえば、アマゾンキンドルストア、他漫画アプリでしょう。アマゾンキンドルは、活字も含めて網羅的である一方、他漫画アプリはその名の通り漫画だけを対象に無料期間などを駆使してユーザ数を増やしています。ここではどの漫画アプリが良いかは語りませんが、ここで言いたいのは、誰でも電子書籍を読むことができる環境が整ってきた、ということです。

以上、全体感をつかんだところで、各評価軸に沿ってスコアリングしていきます。

お金(1冊あたりに要するコスト)

1冊あたりに要するコストは、正規の値段で買えば紙と変わりません。

しかし、どの電子書籍も大概セールしていて、セール期間中だと30%オフとか、50%オフとかになるのですね。まあセールの時期はわからないのですけど、しょっちゅうしているので、1冊あたりのコストをならすと新品の7割くらいと見ておけば硬いのではないでしょうか。1冊300円くらい。

今回比較対象として列挙している漫画喫茶・古本自炊・レンタル書籍のどれよりも高いですが、紙ほどではないということで、スコアは3.5とします。

読むための手間(東京都心部)

インターネット環境さえあれば、ダウンロードでき、スマホで読めるので、読むための手間は5です。

物理的スペース

全く消費しませんので、5です。

読む環境

自分で選べるので5です。

お目当の漫画を読むことについての不確実性(低ければ低いほど高得点)

スコアは5です。なぜなら、各出版社にとって、そうしない経営上の理由は限りなく少ないからです。実際に9割以上の漫画は電子化されていると考えます。(但し、いちじるしく昔の作品覗く)

じっくり味わうというよりも自らの理解を超えたスピードで読むことを優先することへのインセンティブ(なければないほど高得点)

いうまでもなく5です。

再読にかかるコスト(低ければ低いほど高得点)

電子書籍は一度買うとそのプラットホームがなくならない限りは何度でも読めますので5点。

トータルスコア

3.5+5+5+5+5+5+5=33.5

総評

総評です、改めて全ての漫画を読む形態のスコアを眺めてみましょう。

漫画喫茶

5+3.5+5+2.5+2+1+0=19

古本自炊

2+2+4+5+5+5+3=26

レンタル書籍

5+2.5+5+5+1+5+1=24.5

電子書籍

3.5+5+5+5+5+5+5=33.5

結果、電子書籍で読むということが、漫画を読む形態として最も優れている、ということになりました。。。というと、そうはなりません。

ここに個人の嗜好が入るからです。

実際には、評価軸として設定した7つのうち、自分がどの評価軸を重視するか、という個人の嗜好を反映させるというプロセスを経て、この数字の重み付けがされるのですね。(weighted averageをとる)

僕の場合は、再読コストですとか、読む環境、じっくり読めること、を重視しますので、結果としてはかわりませんが、人によっては金銭を重視するという理由、周囲に漫画喫茶がないという理由でレンタル書籍が1位になりうる。

で、ここで何が言いたいかというと、こういう最もらしい比較をしても、結局は結論ありきだったりするわけです。だって、どんなに客観的な評価をしても、最後は評価軸で重み付けをして嗜好を反映させる、とか補正してるわけですから、何でもありなんですね。

大企業だと、この辺りのスコアリングに血道を注いで、複雑な数式やモデリングやらで一体何をしているのかはわからないけど、何となくそれっぽい、説得的な数値とエビデンスを出して、実際に手がける案件やプロダクトを決めたりしています。で、その裏にある本筋はなにかというと、例えば役員の肝いり、だったり、上司のお気に入りだったりするわけですね。

そして、実際には、一般社員のしょぼい一つの意思決定そんなに大きな間違いには発展しないのです。その理由の一つは、間違えても結果に大差のない意思決定をしていること。二つ目は、一度意思決定した後も間違えたら違う方に乗り換えるいわゆるプランBを用意していること。三つ目は、間違えたからどうかなんて意外と誰も気にせず、日々は刻々と流れていくこと、です。

というわけで、外に出てくる情報としては、綺麗に脚色されたものが出てくるので、何となくそういうもんかな、とか思っちゃうんですけど、実はそれぞれが好き勝手に都合の良いように判断しているのが太宗だ、というのが実情ではないかと僕は思います。例えそれが権威ある組織によって発信されていた情報だとしてもです。

ですので、こういう最もらしい評論を見たときこそ、鵜呑みにせず、統計的な数字であれば分母は何か、分子は何か、前提は何か、ということを自分の頭で考えて、何が正しいのかを言葉に起こしてみる、ということが、情報社会である現代においては一層重要になってくると僕は思います。

さて、本題に戻って、改めて漫画を読む形態ですけど、僕の場合は電子書籍という解となりましたが、各々何が最も自分にあっているかスコアリングの上、重み付けして確かめてみるのも面白いかもしれませんね。

ところで、最近ハマっている漫画は、Daysというサッカー漫画です。これは今まで読んだスポーツ漫画の中で一番面白いですね。サッカーというより人、人生を深く描いている点に心打たれます。もちろん柄本くんのひたむきな姿勢にも涙しちゃいますけど。

それでは、漫画を読む形態の評価を終わります。結構長くなってしまいました。