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所謂ホワイトカラーのAI・Roboによる置き換えについて(伝統的日本企業の現場から) 第8回最終回

DirtyOpi / Pixabay

事務部門:最も自動化される可能性が高い部門

残りは、以下2つの部門です。

  • 事務部門
  • 支店全般

ところで、昨今大手銀行でAI・ロボによる人員削減が大きくニュースになっていますね。

これまでこのエッセーで述べてきた部門は、どの銀行においても似たような部門が存在するはずです。もし銀行で働いている方がいたら、今後5年で今働いている部門の重要性がどの程度低くなるのか、逆に重要性が高まる部門はどこなのか、じっくり考えて見るのも一興です。

「あー、僕は今営業部門だけど、見込みなしのありなしは、今後AIやロボに代替されるのであれば、その辺のスキル構築は一旦見送って、新規開拓して自分の顧客プールを広げることに時間を使うべきだな」とか、思いを巡らし、アクションに繋げるのが良いのではないかと思います。

僕自身でいうと、そうですね、できるだけ企画的な仕事の割合を多くするようにしています。所謂、労働集約的なルーチン割合を下げるということです。あとは、今までやってきた、という理由だけで続けてきたことを、説得的な理由をもって自分の判断でやめる、ことですね。自分の判断で今まで続けてきたことをやめる、ということは、実はもろ刃のつるぎで、伝統的日本企業ではあまり好まれないのですが、そこは僕はリスクをとって「やめる」と判断することにしています。

もちろん、僕自身が判断しても、僕の上の人がno, やめるな、と言ったらそれまでなのですが、上の人が自然とやめた方が部門や組織にとってプラスになる、ということを説得的に説明するということです。勝手にやめると、後から揉めそうなタスクについては、上記のような地盤整備をきちっと行います。

一方で、やめても「恐らく」気づかれずに終わるだろうと思われるものについては、自然消滅を狙います。やらないことを常態化させることで、やっていない状態を既成事実化、相当期間経って、「あれって、資料作ってなかったっけ?」と言われた時に初めて、「これこれこういう理由で、かなり前から作っていません。」と自信に満ち溢れた表情で毅然と言い放つことで、やっていないことがあたかも理に適っていて、むしろ今さら始めても意味ないどころかマイナス感を醸し出すのです。実際に、やめていても何の実害も生じなかったわけですから、それで何の問題もありません。

こうした工夫(笑)を続けて、日々のルーチンが減り、企画的な仕事ばかりになると、それはそれで大変なのですが、所謂自動化の対象となる業務を手がけることはほぼなくなるはずです。これは色々な部門で役に立つスキル(社内スキルを減らし社外スキルを増加させる)ですので、ぜひお試しいただければと思います。

ただ、留意点が一つあって、上記自動化対象業務を減らす手法を実行するには、職場でそれなりの信頼を得ていることが大前提となります。

自身が一度も手がけたこともなく、所定の時間内に求められた水準で、できる実力もないのに、「これは必要ありません」と言っても、通りません。以前もお話しした通り、できるけどやらない、というのと、単にやりたくない、というのとでは、説得力に大きな違いがあります。

同じことを同じファクトと論理に基づき提案しても、昨日入ったばかりの新人が言えば、「単なる怠惰なやつが戯言をのたまっている」、と思われる一方、経験(これが重要だったりする)と実力のある中堅が言えば、「なるほど、賢明な彼のことだ、何か考えがあるに違いない」と好意的に受け止められるものです。

ただ、まあじゃ、信頼を得るまでに、一体どのくらいの期間我慢すればいいんですか、というと、概ね3ヶ月です。3ヶ月も真面目に取り組めば、大抵のルーチンは、目をつぶってもできるレベルになるはずです。漫然と取り組むのではなく、主体的に仕組みと勘所を押さえ、何のために、目的を達成できる水準で仕上げるためには、何をすればいいのか、一つ一つ細かなプロセスに分割して頭に叩き込み、同時に手も動く状態にするということです。

3ヶ月というのは目安で、不幸にもそのルーチンに思い入れのある先輩や上司の下についてしまった人は、半年かもしれませんし、1年かもしれません、その辺りは日々の会話から感度を探り、どのタイミングでルーチンをやめることを切り出すのか熟考しましょう。

言い出す際には、マイナスだけでなくプラスの材料もストーリーとともに巧妙に織り交ぜることが事定石となっています。なっています、と言い切ってしまうのは、僕自身がテストも兼ねて10年にもかけて何度も確認した結果、「意味がないのでやめますわ」と率直にいうのと、「これこれ、こういう背景があって、一旦やめるんですけど、いつでも必要になったら再開できますし、削減された時間でこれこれこういう分析もできるようになります」とかいう方が、好意的に受け止められ、提案が通りやすくなるということが明らかになっています。

つまりは、単なるテクニック的なことなんですけど、人はネガティブな材料だけ聞くとおいそれとは賛成したくなくなります。単に何の前ぶりもなく「これをやめたい」といっても、「お前は楽したいだけだろ、ふざけんな、やれよ」という風に反応するようにできているものなのです。そして、その反応は決して間違っているわけではありません。今までやっていたことをやめる、ということは、そのチームの成果物が一つ減ることを意味します。例え、そのルーチンによる成果物が何の意味もないものだとしても、現実に報告書なり資料なりは物理的に出来上がるのですから、成果は成果です。というより、今まで成果として報告しているという既成事実があるのですから、(実態としては無意味であったとしても)価値あるもの、のように受け止められているわけです。その矢先に、成果物を一つ減らしたいと部下がのたまったら、上司の最初のリアクションはやはりノー、というのは理解できます。

上記を踏まえると、マイナスの提案を一つする時は、そのマイナスの提案を埋め合わせするプラスの提案も合わせるのが良いということです。例えば、「僕はAというルーチンは現在の環境においては上司にとってもその上の役員にとっても何の示唆ももたらさないため、やめたいと思っています。大まかにいって、このルーチンに使う時間は週に3時間なのですが、この3時間を僕が最近興味があって自分で勉強しているBという分析手法を使った報告書作成に当てようと思います。Bという分析手法は、昨今先進的な会社で取り入れられている手法で、この結果をグラフで見せて、4象限に仕分けると、ビジネス上のアクションに繋がる示唆が得られる直感的なものとしてベストプラクティスになりつつあります。こうすると、僕だけでなく上司も役員も含めてより有益なことに時間を使えるようになるのですが、いかがでしょうか。」というような感じです。この言い回しだと、単にやめる、というネガティブな情報だけでなく、自分は組織のことを考えている、自分は好奇心旺盛で自主的に調べて、学術的な理論や他の会社の事例を自分の会社に応用できる頭脳を持っている、人を説得させるための能力にも長けている、というマイナスを補って余りあるプラスの材料を提供しています。

そうすると、マイナス提案だけでは、no、と言っていた上司も、「うーん、まぁ、お前がそこまでいうなら試してみるか」という方向に流れることでしょう。新しい提案をする時は、できればパイロット期間・パラレル期間を設けるのも良いです。パイロット期間とは、特定期間試しにやってみて、良さそうだったら継続・拡大するやり方です。パラレル期間とは、新しい提案を実施する際に、念のため旧来のやり方でもやってみて、結果に大きな違い、あるいは改善が見られるか特定期間確認する方法です。両方を組み合わせても構いませんが、この二つの期間の概念をプレゼンに入れ込むと、提案が通る確率が格段に上がりますので、活用するのが良いと思います。理由は、いうまでもないですよね、誰だって大きな失敗するの、されるの、って嫌じゃないですか、ですので、まずは小さく初めて、ってやつですね、easy win first。パラレル期間は、当該期間中は作業が2倍になるので辛いんですけど、上の人に新しい手法と古い手法の違いをきちんと認識してもらえるという強みがあります。

本題に行く前にものすごく長くなりましたが、よりAIやロボに代替されない仕事に、ルーチンをどのようにして減らし、クリエイティブな仕事に振り向けて行くか、とそのティップスを書きました。

さて、本題です、事務部門からいきます。

事務部門

まず、事務部門って何?って学生の方なんかは、聞き馴染みのない言葉かもしれません。しかし、伝統的日本企業ならないところはありません。名前はもちろん事務部門ではなく、色々な名称で各企業にあります。例えば、資産管理部、購買部、決済事務部、だったりします。名称で判断するのは難しいので、実質的な業務内容で判断しましょう。具体的には、「人間の判断が比較的入る余地の少ない標準化された定型的な業務を主ミッションとして手がけている部門」です。

ここまでいうと、もはや明らかなのですが、自動化対象の本丸です。というのも、自分が経営者であれば、上記のような種類の業務を主としている部門に一線級の人材はおかないと思うんですよね。しかも、人の判断が入らず定型的な仕事を手がけている、という時点で、AIやマシンに最も代替されやすい種類の仕事を手がけていることにも繋がる。つまり、真っ先に自動化して上にアピールしたい、そして自動化しても、それほど文句をいう人間もいない。(実際にはいるのだが、会社内でそこまでのプレゼンスがなくその声は減殺されがち。)

したがって、自動化の割合としては、95%です。このような部門で孤軍奮闘しても結果はしれてますし、キャリア形成にも支障をきたしますので、自分が進みたい方向に対して、何がしかのアクションを起こしましょう。自動化を推進するリーダーとしてなら、あと5年くらいは重宝されると思うので、僕が狙うならその役割ですね。

支店全般

これはですね、海外支店ではなくて国内支店を意味します。

海外支店だとゼロから販路開拓、ロジ構築、商品見直し等、日本国内から派遣される社員には、それなりの裁量を求められます。また、例えば日本語以外の外国語圏だと、現場のやりとりが基本現地語になるため、本部から何やかんや言われる機会が国内支店に比して少ない、というのがあります。そう簡単に上席の方々も出張に来て様子をみにくるわけにもいけないだろうし、様子をみに来たとしても、まさに様子を伺いレベルであって、そもそもそこで話されている言語に精通していないのであれば、あれこれ注文をつけるのも気がひける、ということはあります。

一方、国内支店はというと、もうそれなりの伝統、歴史、顧客網、本店からの指示系統がしっかり確立されていて、手足として忠実に本店が定めた目標を達成することを迫られ、現場の裁量の余地はそれほど多くはありません。また、本部ののお偉い様がたも業績不振の支店、業績好調の支店、どちらも、簡単に出張でこれちゃいますし、その度に色々と考えなきゃいけないこともあるので、端的にいうと、中枢からの目が届きすぎちゃうんですよね。

ですので、もし国内支店だとしても、行くとしたら僻地の方が本部(東京だと仮定した場合)からの距離が遠くてアクセスが悪い分、気楽です。

で、自動化の割合ですが、そもそも支店そのものがコストでしかなくて、多くは出張で事足りるし、少なくとも人数自体はいまより減らしていいんじゃないか、とどの企業も思っていると僕は考えます。なぜなら、日本の都市部への集中傾向は依然として変わらないことにくわえ、日本は足元人材不足に喘いでいる中、わざわざ需要が頭打ちどころか、そもそもこれから下がる見込みしかない日本に対して企業として投資をすることが賢明かというと、そうは思わないからです。

どちらかというと、必要最小限度の投資で如何に現状を維持するか、を考えるでしょう。伝統的日本企業であれば、日本市場が飽和するまで国内市場に相当の投資をしてきたわけですから、人口動態が代わり消費が衰える中これからさらに増やすというよりは、むしろ減らす方向に傾きますよね。

ですので、ありとあらゆる手を使ってでも、支店の業務をできる限り自動化なり、効率化するというインセンティブが働くと考えます。特に法人ではなく個人を顧客とする商売であれば、今はネットがありますから、実店舗を支店で持つということに必ずしもこだわる必要はありません。

地方にリーチする、という方法が、支店だけでなく色々とでてきたということです。

で、例えばウェブ広告でリーチするのであれば、そんなに労力も必要としないし、ウェブにアクセスしてくれる限り、どんな人でもその人にあったターゲット広告を出すことが可能です。

自動化割合というか、支店業務の消失割合でいうと今後10年で6割、とみてもいいのではないでしょうか。対面でサービスを提供するマッサージ等のサービス業でない限り、それくらいのペースで減少すると僕はみています。

まとめ

さて、ようやく終えました。

ここまで書いてみて、改めて思うのは、今後10年でAIやロボに代替される仕事を考えるにあたって、組織力学が超重要ということですね。AIやロボに代替される仕事を誰が決めるのか、という観点です。そりゃ普通に考えて、末端の人間ではなく偉く、発言権なり権力を持っている人です。

となると、自分の仕事を真っ先に自動化するなんてことはありえない。例えば、経営層をロボットにしようなんて動きは最後の最後まで出てこないでしょう。本丸は最後まで取っておくのがセオリーとなります。

ですので、最も早く自動化される業務は、組織的に発言力がなく、且つ自動化余地が高い部門ということになります。特に、組織的に劣勢に立たされている部門、その部門こそ自動化なり人減らしのターゲットにあげられるはずです。つまりは、組織的に劣勢→いくら文句が出ても自動化による効率的な経営の一言で、その文句を減殺可能→パイロット的成功事例として自動化を推し進めやすい、という論理です。

とすると、我々サラリーパーソンが取りうる選択肢としては、当該部門を避け自動化されずらい専門分野あるいは中枢部門に行くか、たとえ自動化されやすい部門にいたとしても、当該部門を自動化することを主導する役回りとして使える人間になることです。間違っても、自動化に対して反対する抵抗勢力になってはいけません。抵抗が通用するのは当初半年くらいで、組織は平気でその部門の人間を切り捨てる冷徹さを持ち合わせています(というのも、当該部門には権力者がいないため、忖度を行う理由が見当たらない。)。

つまるところ、AI・ロボそのものを恐れる前に、やるべきこと、できることは、たくさんあるということですね。長くなりましたが、これで終わりです、happy merry christmas!!