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知識じゃなくて自信

geralt / Pixabay

先輩の話

この前、会社の同僚というか先輩とランチで話していて、その先輩の子供に対する教育の話になりました。

なんでも首都圏の小学生は、(遅くとも)小学4年生から中学受験勉強を始めないとならず、それなりに受験勉強もした当該先輩も、その年齢に達した息子の勉強を少し見てあげることにしている、とのことでした。

折角なので少し調べてみました。

(スクールポット、2017年3月号 2017年 首都圏中学入試の概況https://www.schoolnetwork.jp/jhs/maniax/2017-03/index.php

以上、受験サイト(こんなサイトがあること自体驚きました。)というウェブサイトによると、2008年〜2016年の首都圏児童数34万人程度に対して受験生は6万弱、ということで、首都圏では20%弱の小学生が中学受験に参戦するんですね。

5人に一人、これを多いととるか、少ないととるか。僕は地方出身で地元に私立中学など一つもなかったので、めちゃくちゃ多いと思います。小学生の時なんか、本当に土管のある空き地、原っぱで駈け回って、野球して、かくれんぼして、基地作って、とかの全盛期でしたからね。

その時に、自分が受験やれって言われたら、まぁポカンとするし、嫌だっていうでしょうね。別に勉強好きじゃなかったし、遊んだり本読んだりするのが好きだったので。

ただ、僕の場合は、周りも原っぱ駆けずり回ってる友達しかいませんでしたけど、首都圏じゃ5人に一人受験ですもんね。それくらいいたら、40人クラスに少なくとも10人弱はいるわけで、「じゃ勉強してみようかな」くらいの軽い気持ちで塾に行く、というのはあるのかもしれません。というか、子供って流されやすいから、親から吹き込まれて仕方なく、ということもあるでしょうし、単に友達がいるから、交流ができるから、という理由で受験生活に入る子供もいることでしょう。

その意味で、まあ水泳を習いに行く、とか、ピアノを習う、くらいは普通のことなんでしょうね。僕も真面目に解いたことはない(というか解けない)ですけど、ちらっと中学受験の問題を見た感じでは、複雑な算数とか、漢字もたくさん覚えるようですし、知らないものを知る、と言う意味では、強制的にやらされているのでなければ、別にやっていて損はないんじゃないでしょうか。

そこで、予備校教師の教え方の良さに、勉強が楽しいと思える子供も出てくるでしょうし、学校でいじめられているけど、塾では楽しくやってる子供もいるかもしれないし。

というわけで、僕は原っぱ駆けずり回ってましたし、5人に一人という中学受験比率の高さには驚きましたけど、それほどネガティブな感情をもっているわけではないです。

さて、本題に戻って、その先輩の話を聞いて、なるほど、東京の小学生というのは、小学時代からそんな勉強を始めないといけないんだな、大変だな、と思うと同時に、具体的にどういうことを教えているのか興味が湧いたので、更に深掘りして聞いてみました。

その時の話が、色々なことに繋がる大きな示唆に富んでいると僕は感じたので、共有させていただきます。

以下、僕、先輩、で始めます。

 

僕:で、どうなんですか、子供の勉強みるって、結構教えるのとか大変そうな感じしますけど。

先輩:いや、さすがに中学受験だから、知識レベル的には問題ないよ。でも、具体的なテクニックとか知識は今の所ほとんど教えてないな笑。

僕:え、じゃ一体何教えてるんですか?勉強見てあげるって、普通解き方とか、間違えたところの復習とか、宿題のペース管理とかじゃないんですか?塾とか行ってたら、子供もスケジュール管理大変そうですもんね。

先輩:いや、俺はそういうのは今の所一切教えてないな笑。

僕:じゃ一体何を教えてるんですか?一緒に遊んでいるわけじゃないでしょう、勉強見てあげるって言ってるんだから。

先輩:これまでのところで言えば、心構えだな。

僕:心構えって受験に対する心構えですか?

先輩:いや違う、もっと一般的なものだよ。なんというか、勉強する時、問題を解くときの心構え。正確には、「まずは、勉強する前に、自分はできる、何とかなる、解けない問題なんかないって自信を持つことだ」って何度も言ってるだけだよ笑。実際に難しい問題に当たった時の具体的な解き方なんかは一切教えてない。

僕:それ面白いですね、マインドセットを教え込んでるってことですね。まあ確かに、小さい頃から自分に自信を持つのって重要ですよね。

先輩:まあ小手先のテクニックとか知識なんかどうせ受験終わったら忘れるでしょ。そんなん仕事で、こうしろって言われて、うるせーなって思ってやらされたことなんて俺らも覚えてないじゃん。でも、まずできない仕事なんかない、って思え、っていう上司の無茶な心構えは、妙に心に残ってるもんだから、子供も同じなんじゃないかと思っただけ。あと、俺自身適当だしな、実際なんとかなるでしょ。ところでさ。。。

この会話の後に考えたこと

この時は、これで会話が流れて、次の話題に進んだんですけど、その後気になったので、ちょっと考えて見たんですよね。

上で話されてたことって、中学受験を迎える子供に対してだけじゃなくて、僕も含む社会人全般に適用できることなんじゃないかな、と。

確かに、テクニックってある種のベストプラクティスであり、この場合にこうすればいいという具体的な方法論で、その場を打開するには役に立つし、テクニックの引き出しは大いに越したことはないし、それを教えることが、効果という意味で即効性があるのだけど、新たに挑戦すること、未知のものに物怖じせず、がっぷりよつで取り組む、という自信や諦めないマインドセットが身につくわけではないです。

でもですね、実際、自信と何事も諦めない姿勢がほとんど全てなんですよね、サラリーパーソンって。

自信というのは、偉そうに振る舞う、という意味ではなくて、英語で言うself-confidentにちかいです。自分を信じる力、というか、自分の可能性を信じる強さ、とでもいいましょうか。

いや、どんだけお前がレベルの低い職場で働いてるんだって、思われるかもしれないけど、実際知識じゃないんですよ。知識はもちろん、重要なんですよ。例えば金融機関で働いているのに、金利が上昇すると債券価格が下がるを理解できないのはまずいでしょう。

でも、それすら、結局は、知ってる知らない、の話でしかない。そして、日常発生する仕事の8割は、知ってる知らない問題に落とし込めるもの、と言っても過言ではない。

そうじゃなくて、まさに未知の出来事に毎日複数回遭遇しているとしたら、そりゃ死んじゃいますよ。

まあリップサービスで、「毎日出会ったことのない問題に遭遇してクリエイティビティを発揮して頑張ってますよ、それを解決するには、今までの経験に裏打ちされたスキルが頼りです」、とかいうこともあります。しかし、実際には全く同じではないにせよ、類似のイベントだったり、自分が対処法を知らなくても、対処法を知っている人を知っていたりして、そんな「クリエイティビティにあふれた」タスクを四六時中こなしているわけではない。

じゃ、何をこなしているのか、といえば、対処法を知っていることを応用して、問題を解決しているにすぎない。ただ、ひたすらこなす量は多かったり、いつまでに何を、という時限制、こなしたことをどう見せるか、という見せ方(これも資料作り、プレゼンの練習に時間がかかる)を考えると、結構難易度の高い仕事になっているのだと思います。難易度というのは、テクニカルに難しいというよりは、ストレス耐性的にそれほど簡単ではない代物。

そして、ストレス耐性が求められるタフな状況下で、自信をもって諦めずに取り組めるかどうか、その心構えがあれば、あとは何とかなると僕は思うのです。あんまり頭の良さって関係ないかなと、同時にテクニックや知識すら関係ないかな、と。そんなん後から覚えればいいしって思うので。

実際今まであったどんな上司も口を揃えていうのが、「頭も知識もそこそこでいいけど、自信をもって諦めないでがんばるいいやつを部下に欲しい」とか言うし、僕の同僚も先輩も、口を揃えて、「ひたむきに胸張って頑張れるやつがいい、知識なんて知ってるか知らないかで、後からどうにでもなるけど、マインドセットは教えられないから、やっぱり自信とマインドセットだよね」とかいってますしね。

スキルスキルってほんまかいな

まぁ最近は自信、マインドセットの重要性を問う本なんかも増えてきて、知識・スキル偏重の世の中でもない気もしますが、それでも、まだ、職業世界は知識・スキルを過剰なまでに信奉していると思います。

それはなぜなのか、ですけど、一つ目は、自分が今携わっている、あるいは携わってきたことが、知識・スキルがなくても、単なる自信や諦めない姿勢さえあれば、できるものだと思われちゃたまったものではない、バカにすんなよ、もっと大したことしてるんだよ、という見栄だと思います。

まあ僕も、学生さんにフォーマルな場で聞かれたら、それっぽい回答すると思いますよ。要はやる気だよ、とはそう簡単にはいえないです笑。なんか格好つけたいじゃないですか、それはあるでしょう。

二つ目の理由は、知識・スキルは、知ってるか知らないか、だからある意味評価しやすい、一方で自信を持っているか、諦めない姿勢を持っているか、という内面的な部分は、なかなか可視化できない。だから、例えば自分が評価者や採用担当者だとして、目に見えないものを評価した、と客観的に説明しにくい、というのはあります。

僕は人事に携わったことはないし、人を採用したこともないけど、僕が人事でも、目に見えないものを評価して、この人を採りたい、というのは怖いです。それよりは、前職の実績だとか、何ができるか、というスキルベースで評価したほうが、「失敗した時の言い訳」にしやすいですから。

でも、現実世界としては、実は、知識スキルなんて、みんなどうでもいいとは言わないけど、自信やマインドセットのほうが重要だと思っていて、裏では結構評価してるんじゃないかなとか思います。

だから、スキルスキルって世の中ではその重要性が喧伝されているけど、やはり仕事で重要なのは、スキルより自信、諦めない心ですよね。

詳しいがゆえに、細かいところが気になって不安な顔して資料の説明する賢い人より、ざっくり理解してて間違ってるところもあるかもしれないけど、自信に満ち溢れた顔で説明する普通の人、の方が評価されますんで。

その意味では、自信、って胆力とも言えますね。清濁併せ呑む胆力、と言えば聞こえはいいけど、間違っているかもしれないけど、その間違っている責任を上司や他人に被せず自分で被る胆力。

まあとはいっても、例えばプログラマーやってるのに、プログラミングできない、ですとか、完全にその役割にスキルがかっちりハマってる職業では、やる気ありますだけでは通じませんけど。

あとエクセルできない、ってのもダメな企業まだ多いかもしれませんね。

ただ、それとて、例えばまともな人が上にいれば、ちゃんと教えてくれますし、自信と諦めない心持っていれば3ヶ月あればキャッチアップするし、まっさらの方が教えやすいんで、採用担当者が長期的ビューを持っていれば、やはり自信と諦めない心を持つ人を採用すると思うんですけどね。

僕自身も、早く、そういうファジーなファクターが実際にかっちりした採用面接の場で評価される世の中になってほしいな、と切に思います。

なんつーか、もう少しぶっちゃけた世の中になったら、そのあたりも、知識なんて経験なんて、どうでもいいよ、とにかくさ自信あってやる気あるやつ!ってなると思うんですけど、まあ社会人ってメンツも重要なんで、なかなかそう簡単にはぶっちゃけられないですよね。

でもまあ、戦後70年経とうとしてるし、経済も成熟してきたので、そろそろ実質ベースで、本音ベースで、サラリーパーソンの世界も彩られるといいのにな、と思うのです。

先輩との会話で、そんなようなことをおぼろげながら考えたので、備忘的に残しておきます。